分からないこと

僕には、世間一般の形式が理解できない。

いや、分からない。

それによって何が生まれ、何の利益があるのかが、分からない。

 

人は悠々自適な生活と精神を望んでいるはずなのに、何か目に見えぬ恐ろしい魔物の奴隷となっている。

 

それをなんとか無意識に目隠しするように、欲望を求め、一時の快楽を生き甲斐とする。

 

僕はそれらの人々を非難する訳でも、批判する訳でもない。ただ、分からないのだ。

こんな、どんよりとした雲のようなものが漂っていることに。

 

金は必要だ。だが、他人に自分の時間を多く与えてまで、得る必要があるのだろうか。

最低限度の生活費を稼ぎ、娯楽に少し使える程の金で充分なのではないか。

 

もちろん、志がある上で金が必要で、今は忍耐の時と判断し、精一杯働くことは素晴らしいことだ。ただ、僕が分からないことは、行き先の決まらぬ航海をなんとなく突き進むことである。

 

行き先は途中で変更されるかもしれない。けれども、まずは目指すところがあると、航海も楽しいだろうし、無駄な欲望の解放のために時間を使うことも馬鹿らしくなるだろう。