いやだと言えぬ空の下
いやだと言えぬ空の下。
いやだと言えば廊下に立たされ、
先生は、えへんとおおいばり。
それでぼくは悲しくって、うつむいて、
偽善教室のとびらをたたく。
それで先生は、ふんっとぼくを見下して
空の下とはこんなものかしら。
絵をかく時間に、ぼくはまちがって
白いねこを黒くした。
それ見て先生、つのはえる。
顔をまっかに、ぼくの腕をつかむ。
またまたぼくは、廊下に立たされた。
くつもシャツも絵の具だらけ。
黒いねこはにゃあとなく。
ぼくはしゃがんで、
黒いねこをかわいがる。
偽善教室のまどは、ひどく汚れていて
透かしてなかをのぞいたら、
みんな同じ絵、おなじゆううつな顔。
ぼくはわあっと泣けてきて、
黒いねこを抱きあげて、
雨降る校庭を走りだす。
いやだと言えぬ空の下。
黒いねこだけ、あたたかい。
黒いねこだけ、おともだち。